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深沼による『QUAD』全曲解説

1. Bright light (words&music:Fukanuma)
過去のアルバムでも、GHEEEの現在形を象徴する(あるいはしていく)ような曲を1曲目に配置してきた。この曲もいかにもGHEEEという演奏でもあり、同時に、わかりにくくない変拍子、ちょっと雰囲気の違うギターリフ、少しウエットな質感の音像という現在形要素が詰め込まれているリードトラック。タイトルモチーフは昔読んだジェイ・マキナニーの小説「ブライトライツ、ビッグシティ」

2.Flicker sign (words&music:Fukanuma)
近藤さんのボーカルスタイルは、もちろん綺麗なメロディーを歌っているときも良いんだけど、こうした抑揚の少ない「冷たい」メロディーでもよく映える。対比を強調する為に僕はよりエモーショナルに響くように歌っている。ギターリフ的なものもあるとはいえアンサンブル的にはHisayoちゃんのベースが全ての基盤となっている。

3. On the beach (words&music:Kondo)
今作を作るにあたって、一番最後に近藤さんが書き下ろした曲。03、05、08、11が一度もライブで演奏せず、結局リハーサルも無くレコーディングに臨んだのだが、特にこの曲はヘッドアレンジも間に合わなかったので、当日そのままラフにアレンジして即録音した。その時点ではイントロのフレーズ等ほとんどの部分が未確定だったんだけど、それでもこんな演奏が出来るリズム隊の2人の完成形へイメージ力は凄い。

4. Better than nothing (words&music:Fukanuma)
前作「III」の頃に既にあった曲で、なんとなく保留になっていたものをライブで演奏していきこの形になった。最初はワンコーラス分しか歌詞が無くて、ライブではずっとそれを歌っていたが、録るにあたって少し書き足している。同じメロディを様々な展開形で聴かせて、「人生は嘘で埋め尽くされているけど何もないよりはまし」という最後の一節にもっていく、というのは曲を書いたときから決まっていたイメージだったが、レコーディングしてコーラスワーク等が整理されて良いトラックになったと思う。

5. Speed of sound (words:Kondo/music:Fukanuma)
書き下ろし曲で、歌詞は近藤さんが書いている共作曲。便宜上「4分の11」と呼んでいる「Fancy vendetta」等と同様のわりと僕が好きな変拍子。最後にはさりげなく一つ増えて3/4×4(つまりは12/4)に変化したりして特にYANAさんには苦労をかけたと思うがしっかり叩き切っているあたりはさすが。ギターソロはちょっとテクニカルなことをやっているのだが、わりと整いすぎて味気ない感じがしたのでエフェクトでシンセ風にした、のだが、今聴くと充分雑だったかな(笑)

6. Heaven knows (words&music:Kondo)
近藤さんから届いた時点でアレンジの完成度もかなり高かった曲で、アレンジもストレートにまとめた。この曲の凄いところは、近藤さんの作曲時に使う最高音がヒラ歌の一番最初の音だ、というところ。しかもそこで曲タイトルを歌ってしまう。それなのにサビはしっかりサビとして機能している。ずっと一音を歌うBメロを効果的に使っていたり等の全体の構成力が素晴らしく、メンバーに良い作曲家がいるバンドをやれる喜びを実感できる。

7. Sweet nail (words&music:Fukanuma)
「詰めが甘い」を捩った冗談のようなタイトルを先に考えてしまったので、実際の作詞ではどうオチを付けるか苦労した。サビのハモりをMix中に土壇場で全て録り直したのがこのアルバムレコーディングの最後の録りだった(3月31日。要するに全ての締め切りの日)のがまだ記憶に新しい。

8. Thorn (words&music:Fukanuma)
書き下ろし曲。同じテンポの部分が続く時間が短く常にテンポチェンジしている感じ、当然レコーディングでは難曲となるかと思ったが、リズム隊は2テイクぐらいで決めていたと思う。曲内でいろいろな局面があるけど、敢えて全て自分で歌ってみた。他の曲が歌を交代することによってシーンを変えている様式をとっている、その逆をやってみたという感じ。ギターはやりたい放題分厚くやったので、ライブでどうするか悩みどころ。

9. Justify (words&music:Kondo)
近藤さん曲らしい綺麗なメロディーの曲。アコースティックギター1本で弾くとその原曲の美しさが良くわかる。ギターでは、この曲以外でも「QUAD」では非常に使用頻度が高いWammyを全面的に使用している。歌いながらペダルを操作する、というのは普段あまりやらない動きなのでライブでは要練習だろうな…。

10. Far gone (words&music:Fukanuma)
少し英国ロック風のちょっと不気味なメロディー展開を意識して作った曲で、個人的にはGHEEEでしか開けない引き出しの中身という感じ。展開は以前も「ミュージカル的」と表現したことがあるけど、メンバーの見せ場が次々にやってくるというもので、なんといっても聴き所は満を持してやってくるHisayoちゃんの歌ソロ。

11. Heart Gravity (words:Kondo/music:Fukanuma)
書き下ろしで、近藤さんが作詞の共作曲。この曲のギターアンサンブルはデモの状態が好評だったのでそのまま残して、それに合わせてリズム隊が演奏している。最近特に好きな感じのウエットな質感の音像はこの曲に顕著。

12. No time (words&music:Kondo)
近藤さんの原曲からアレンジでかなり変化してアルバムのラストに相応しい広がりのある曲になった。イントロのリフは近藤さんの歪んだリッケンバッカーのサウンド。今回は全曲通してリズム隊やベーシックギターの質感は同じにしているのだが、この曲だけはドラム、ベース共に違った音作りにしている。


最後に、制作にかかわってくれたスタッフ、そして、バンドの音をCDを買って聴いてくれる皆さん、ライブに足を運んで聴いてくれる皆さんに心から感謝します。皆さんがいなければこの作品は世に出ることはありませんでした。ありがとう!


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